2026年1月8日
【2026年1月号】世界の富を吸い込む「米国」と、宇宙へ進むテクノロジー

――経営者・ドクターが整えるべき、資産防衛の「新・常識」
皆様、明けましておめでとうございます。 IFA(独立系金融アドバイザー)の園田悠子です。
2026年、私たちは今、歴史の教科書に太字で刻まれるような激動の真っ只中に立っています。新しい年を迎え、経営者として「攻めに転じよう」と決意を固める方、あるいはクリニックの安定経営と「個人資産の防衛」に頭を悩ませるドクター、立場は違えど、共通するのは「これまでの常識が通用しない」という切実な感覚ではないでしょうか。
記念すべき第1回目のコラムでは、私たちが直面している「歴史の分水嶺」の現実を直視することから始めましょう。
【本日のダイジェスト】
- 新年の衝撃: 米軍のベネズエラ電撃侵攻が告げる「力の支配」
- 常識の崩壊: 「円弱」と「AI爆発」がもたらした冷徹な号砲
- 極移動の正体: なぜ世界の超優良企業は「米国」を目指すのか
- 日本の審判: 国家債務ワーストが招く「企業格下げ」の連鎖リスク
- 勝者の判断軸: 2026年を勝ち抜くための「財務・三原則」
プロローグ:2026年早々、世界を揺るがした「ベネズエラ政変」
新年の余韻に浸る間もなく、私たちは衝撃的なニュースを目にすることとなりました。1月3日、米軍がベネズエラの首都カラカスを攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束。 第2次トランプ政権は、麻薬密輸阻止と資源確保を大義に、国際社会の予測をはるかに上回るスピードで実力行使に踏み切りました。
この出来事は、単なる一国の政変ではありません。アメリカが「世界の警察」から、自国の利益とエネルギー覇権のために圧倒的な力を行使する「最強の略奪者」へ変貌したことを示唆しています。マーケットは当初こそ動揺しましたが、世界最大の原油埋蔵量を誇るベネズエラの利権を米国が握ることへの期待から、皮肉にも米国株は最高値を更新しました。
私たちは今、「ルールよりも力、予測よりも対応力」が求められる新時代に突入したのです。
1.常識が通用しない「スピードの暴力」
過去数年で起きた変化は、これまでの成功体験が「賞味期限切れ」であることを告げています。
- 「円」の凋落: 1ドル=160円を超える歴史的な「円弱」を経験。
- インフレの定着: 30年動かなかった物価が跳ね上がり、販管費や医療資材のコストが利益を圧迫する構造が常態化。
- AIの爆発: ChatGPT登場から3年。開発元の企業価値は約120兆円超へ膨れ上がり、AIは「国家の戦略インフラ」へと昇華。
かつて電話が5,000万人に普及するまでには「75年」を要しました。しかし、ChatGPTはわずか「2ヶ月」です。この指数関数的なスピード感は、ビジネスの賞味期限が極端に短くなっていることを意味します。「熟考して何もしないこと」が、経営における最大のリスクとなる時代なのです。
2.データセンターは「宇宙」へ、富は「米国」へ
その象徴がAIインフラの進化です。爆発的な電力消費を解決するため、OpenAIやNVIDIAは、ついに「データセンターを宇宙空間へ設置する」プロジェクトを現実のものとして動かしています。こうした未来への巨額投資を支えているのは、ベネズエラ情勢をも飲み込んで膨張する、米国へ集まる圧倒的な資本です。
- アストラゼネカ(英)やUBS(スイス)の米国シフト: より大きな富と自由な規制を求め、拠点を強化。
- ソニー銀行の挑戦: 米国でステーブルコインを発行予定
優れた企業と資本が米国へと吸い寄せられている。これが「厳然たる現実」です。
3.日本の審判と「預金」という名のサイレント・リスク
高市首相の積極財政に対し、マーケットの評価は極めてシビアです。日本の債務残高(対GDP比)は世界ワーストレベル。 経営者が最も警戒すべきは、「国債の格下げ」が日本企業の格付けの天井を押し下げ、皆様の資金調達コストや信用力を直撃するという連鎖リスクです。
「預金が確実」と考えるのは、日本という一国に「全財産をフルベット(一点賭け)」している状態です。インフレと円弱が進む中で預金一辺倒を貫くことは、資産価値を溶かし続ける「確実な損失」を招くリスクに他なりません。
4.2026年を乗り越えるための「三つの判断軸」
ベネズエラで見せつけられたような地政学的な波乱がどうあれ、世界から必要とされる企業の価値は不変です。下記の三原則を、今年の財務設計に組み込んでください。
- 「分散」の再定義: 円資産だけに頼る無策から脱却し、構造的リスクに備える。
- 「予測」より「対応力」: 「もし1ドル180円になったら?」というシナリオ別の備えを済ませ、相場の乱高下から解放される。
- 資産運用を「経営の鏡」に: 「とりあえずインデックス投資」は平均点を目指す経営と同じです。「この経営陣に大切なキャッシュを託したいか?」と問える超優良企業を選び抜く。
結びに代えて
2026年がすべての経営者にとって順風満帆な年になるとは限りません。しかし、ベネズエラ情勢のような激変さえも糧にする世界の富の流れを読み、財務戦略を「グローバル」に再定義することで、未来を切り拓く一年にすることは可能です。
投資は、世界がどの方向に動き、何が価値を生んでいるのかを学ぶための「最高の教科書」です。この1月、まずは個人・法人の財務戦略が、時代の潮流に合っているか問い直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
皆様にとって実り多い豊かな年になりますよう、心より祈念申し上げます。
IFA(独立系金融アドバイザー) 園田 悠子

